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第15部分

幽霊西へ行く(日语原文)-第15部分

小说: 幽霊西へ行く(日语原文) 字数: 每页4000字

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 まず、一国の公使館だから、円の工面《くめん》はつかなくても、ドルだったら、くさるほどあると持ちかけました。M国は領土こそ小さいけれども、経済の豊かなことにかけては定評のある国ですから、誰《だれ》でも、なるほどというにきまっています。そこで、約束《やくそく》手形でドルを買ったら――とこう切り出すのですよ。
 一ドルは公定価格にあたる換算率《かんさんりつ》で、三百六十円ですけれども、そのころは闇《やみ》で四百円ほどしていました。
 つまり、公使館としては、いろいろの外交活動のために、円がいるけれども、それを正式に交換《こうかん》したのでは、ぴしゃりと一ドル三百六十円にしかつかないわけでしょう。それを闇で四百円で売れれば一ドルについて四十円が宙に浮《う》くから、それが公使のポケットマネ摔胜毪趣いΔ韦扦埂
 つまり、会社側は約手を渡《わた》して、その額面を一ドル三百六十円に換算しただけのドルの小切手を受け取る。ただ、それを正式に銀行に入れたのでは、やはり三百六十円にしかならないから、それをまた闇《やみ》で四百円に処分して、四十円とプラス?アルファをリベ趣趣筏瞥訾贰⒆苑证畏饯先倭畠谣蕙ぅ圣梗骏ⅴ毳榨·颏Δ堡毪趣いΔ韦扦埂
 われわれの眼《め》から見た日には、完全に外国|為替法摺础钉铯护郅Δい悉蟆筏摔胜毪铯堡扦工⒃挙谓畹坤贤à辘工毪郅赏à盲皮い蓼工贰ⅳ饯欷胜椁小ⅳ郡い皮い稳碎gはひっかかりますよ。
 それでも、一応だめおしぐらいして見なければ、重役の役目はつとまりません。そこで勝田省吉の仲間は、公使館さしまわしの自動車で、この重役を公使館へ案内したのです。
 まあ、誰《だれ》でも外国の国旗のついた大型車で、屋上に国旗のひるがえっている建物の中へ連れ込《こ》まれたら、九割九分までは信用するでしょう。そこへドンと勝田省吉が、笑いながら出て来て、公使の部屋へ案内する。公使としたって、勝田省吉には大変な好感をいだいていますからね。この重役にもにこにこして、握手《あくしゆ》ぐらいするにきまっていますよ。
 重役の方にしてみれば、これは感激《かんげき》ものですとも。一生|懸命《けんめい》、日本語で挨拶《あいさつ》したり、手形の方はよろしくお願いいたしますとたのみつづけるわけですが、公使の方は、一言《ひとこと》だってわかる心配はありません。
 ドンに、いったい彼は何をいっているのか――と、たずねると、ドンも心得ているものだから、――実は公使の自動車の古くなったのを、一台はらい下げてもらえないかというお話でございます。
 というようなことを、長々としゃべりまくるわけですよ。公使にしたって、忙しいし、たかが自動車一台のはらい下げぐらいで、そんなに時間をつぶしてもおれないから、
 ――オ饱ぁ⑨幛蟿偬锞趣庀嗾劋筏啤ⅳ瑜恧筏悉椁い郡蓼ā
 というようなせりふをのこしてひっこむでしょう。たしかに、勝田省吉というのは、ここでも幽霊《ゆうれい》になっているわけですね。公使の方も、会社の方も、おたがいに相手方の人間だと思いこんでいるわけですから。しかし、どんなに警戒心の強い重役にしたところで、ここまで来れば、まず百パ互螗趣悉坤蓼丹欷蓼工趣狻9工晤啢稀⒁粡昵挨猡盲菩凑妞扦郡筏幛毪趣いΔ趣长恧蓼恰ⅳ坤幛筏悉筏评搐郡椁筏い韦扦工⑾嗍证媳疚铯喂工坤贰ⅳ饯慰冥椤ⅴ‘ケイとか、カツタとかいう言葉が出ているわけですからね。
 この重役は、ドンと勝田にぺこぺこ頭を下げて、くれぐれもよろしくたのむといいのこすと、会社へとんで帰りました。何しろ、往きも帰りも、公使館の車で、しかも重役が腹から信用しきっているものですから、重役会議でも、可決されるのは当然でしょう。
 ただ、社長だけは裸一貫《はだかいつかん》からたたきあげて来た苦労人だけに、もう一度、だめをおさせたそうです。
 あらためて、公使館へ二度も電話をかけさせて、ほんとうに勝田省吉という館員がいるか――と問いあわせさせたらしいのですが、なにしろ、半年近くの工作で、水ももらさぬ準備ができていることですから、その辺にそつはありません。この報告をきいてから、初めて社長は決裁の判をおし、手形に六千五百万円という金額を書きこんで、その重役にわたしたわけです。
 重役の方は、その手形を持って、また公使館へのりこみました。弧钉础筏踏堡趣いκ证稀ⅳ瑜靴辘摔鲜工铯欷毪韦扦工⑶挨摔ⅳⅳ筏乒工趣猡ⅳ盲皮い毪长趣扦工贰⑼附ㄎ铯瓮覆课荬赝à丹欷仆溉碎gにあっているのですから、疑いをおこす方がどうかしています。
 ドンと勝田は、ここで手形をすかして見たり、ル冥钦{べて見たり、いろいろとこまかな芝居《しばい》をしたあげく、それでは、これを銀行で確認させたり、ドルの小切手をまた闇《やみ》で円にかえたりする都合があるから、一週間待ってもらいたいといい出しました。
 それは、もちろん、最初の約束《やくそく》の中に含《ふく》まれていますから、重役の方も、否《いな》やはありません。ただ、正式の預かり証をほしいといい出したのは、これは重役の職責として当然のことでしょう。
 ドンはタイプの前に坐《すわ》って、葉巻などくわえながら、ぱちぱちとタイプを打ちだしました。何しろ国旗を四方に印刷した用紙はいくらでも自由になるのですからね。勝手な文句をうちまくって、それから、
 ――それでは、公使のサインをもらって来ますから。
 と、ことわって部屋《へや》を出て、勝手に自分がサインをする。それから、時間を見はからって部屋へもどって、
 ――あいにく、公使はただいま、イギリス大使と重要会談中で、本日はおあい出来ませんが、くれぐれもよろしく申し伝えてほしいといっておりました。
 というようなことを、片言の日本語でしゃべりまくって、ごていねいに、スタンプをぱ螭趣饯紊悉摔筏郡饯Δ扦埂¥长违攻骏螗驻稀ⅳ嗓螭适旨垽摔扦狻⒈丐氦蛊胀à韦猡韦坤趣いΔ韦扦工⑷毡救摔稀负巍┲晔交嵘缛【喴凵玳L之印」などいうものをすぐ連想するものだから、これがたいへんなききめがあったのですね。
 ――これでよろしいですか。
 といって、つきつけられたところで、もともとスペイン語は一言もわからないものですから、たとえば、
 ――お前は世界第一の阿呆者《あほうもの》である。
 というような文句がならんでいたとしてもわかるような気づかいはありませんよ。それでも、この重役は一生|懸命《けんめい》、スペイン語のわかるような顔をして、この書類をにらんでいたそうです。そうしたら、またドンが、
 ――日本語で、書類をお作りすればよろしいのですが、公使は日本語が読めませんために、責任を重んじて、日本語の書類には、いっさいサインをなさいません。外務省を通じて交換される公式外交文書で、日本、スペイン両国語の正本が出来ているものは別ですが。
 といい出したのだそうです。これは完全な止《とど》めの一撃《いちげき》でした。このインチキ書類を、やはり公使館の正式の封筒《ふうとう》へ入れてもらってうけとると、重役は二人に三拝九拝し、喜んで会社へとんで帰ったのです。
 さあ――後にのこった二人は、笑いがとまらなかったことでしょう。半年の時間と、多少の資本はかかっているとしても、法律的には何の効力もない紙片一枚で、六千五百万円という正式の手形をパクれたわけですからね。その日のうちに、この手形は、一応善意の第三者ということになっている主犯の土屋|詮三《せんぞう》の手にわたったわけですよ。彼は何くわぬ顔で、この手形をまたべつの人間にわたし、現金にかえてしまいました。一応の会社の正式の手形ですから、何の問睿猡胜盲郡铯堡扦埂¥长欷怯碾憽钉妞Δ欷ぁ筏桂^から消えてなくなり、ドンが飛行機で、本国へ高とびしてしまえば、丸々商事のほうでも、あとはどうしようもなくなるわけでしょう。会社は信用を重んじますから、たとえ犯人が国内にいることがわかっても、そうそう公表できるものではありませんし、まして、国際問睿趣胜盲皮悉胜卧挙扦埂
 いかがです? これ以上|巧妙《こうみよう》な完全犯罪は考えられないくらいじゃありませんか?

    4

 この話には、私も完全にまいってしばらく返事ができなかった。それでも間もなく、気をとり直して、この犯罪にはどこにミスがあったか、犯人たちはどこで間摺钉蓼沥筏à茥什鞄丐问证摔毪瑜Δ摔胜盲郡颉ⅳ筏膜长郡氦亭埔姢郡韦坤⒏o崎検事は意地悪く、にやにや笑うばかりで、そのことについては一言《ひとこと》も話してくれなかった。
 それから二、三日して、私はこの検事から手紙を受け取ったが、その中にはこんなことが書いてあった。
「先日の話はお気にいりましたか?
 実は、私も推理小説には大変興味を持っているために、あなたの作品にヒントを得て、いかにも、もっともらしい幽霊《ゆうれい》の犯罪を考え出して見たのです。
 たしかに、金融《きんゆう》犯罪を担当している検事の考えつきそうな物語でしょう?
 あの話をしていたときの、あなたのお顔と声から判断して、物語としては、たしかに成功したなと思ったのですが、さて、解決はと聞かれたときには、私もはたと当惑《とうわく》いたしました。実は、この解決はまだ考えていませんでした――というよりは、どんなに睿颏窑亭盲埔姢皮狻F在のわれわれの捜査《そうさ》技術では、この犯人たちは捕《つかま》えきれないだろうというのが、正直な告白なのです。
 ですから、この話も推理小説としては落第でしょうし、私も推理小説を書こうという野望はなくしてしまいましたが、ひとつ、あなたの力で、この事件の解決をつけて見てはいただけませんか?」
 これは、ある意味では、推理作家に対する法律家の挑戦《ちようせん》のようなものだった。私は、それから数日、必死に頭をしぼったが、とうとう万人を迹盲丹护毪瑜Δ式鉀Qは発見することが出来なかった。それでやむを得ず、一つの詐欺《さぎ》犯罪の物語として、ここに紹介《しようかい》したわけだが、さて諸君なら、この犯人たちをどうして捕えさせるでしょうか?



 五つの連作――犯人当て小説――

  殺人パララックス――犯人当て小説 その一――

    1

 ちょうどその日は日曜日だった……。
 しかし、犯罪者というものには、曜日の観念などはぜんぜんない。したがって、それを追う警察官にしたところで、まるでむかしの海軍のように、月月火水木金金という一週を送り迎《むか》えしなければならないことが多いのだ。
「たまの非番の日曜ぐらい、休ませてもらいたかったなあ」
 捜査《そうさ》一課の加瀬敬介警部は青山《あおやま》の殺人現場へむかう自動車の中で、殺しの鬼といわれる彼には珍《めずら》しい愚痴《ぐち》をこぼした。
 そばから、横山部長刑事が同情するように、
「全くですなあ。こういう商売では、家庭の平和も、子供の教育もありませんでねえ。今日もひさしぶりに子供たちをどこかへつれて行こうと思っていたんですが、親の心ホシ知らずです」
「僕《ぼく》も中学一年の坊主《ぼうず》と、動物園へ行くつもりだったんだがね。やっこさん、近ごろカメラにこって、従兄弟《いとこ》のお古をまきあげて、将来はカ

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