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第20部分

幽霊西へ行く(日语原文)-第20部分

小说: 幽霊西へ行く(日语原文) 字数: 每页4000字

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》いして、
「いままでの例ですと、手切れ金は三十万――ただ奥さんの気持ちで、今度は多少の増減があるかも知れませんが」
 と答えただけだった。
 捜査《そうさ》当局の一部では、珠代が犯人ではないかという説も生まれていた。彼女が家で一夜を明かしたことを証明できるのは、その母親だけだし、珠代なら離《はな》れの入り口の鍵《かぎ》も持っているから、いつでも自由に出入りができる……しかし、積極的に彼女が犯人だという証拠《しようこ》もないのだった。
 なにしろ、最近のわかい女性は、貞操《ていそう》観念も稀薄《きはく》だから、珠代もパトロンはパトロン、恋人《こいびと》は恋人と割り切って、ほかにも若い男と浮気《うわき》をしているらしい。渋谷署のある刑事《けいじ》などは、村越和男との間にも関係があったのではないかと勘《かん》ぐったが、これにも積極的な証拠《しようこ》はなかった。
「犯人の範囲《はんい》は限定されている。そのうちの誰《だれ》がやったかだが……」
 その翌日、捜査本部で苦吟《くぎん》をつづけていた加瀬警部は、突然《とつぜん》はっと膝《ひざ》をうった。
「ウォルサムだ! あの時計だ!」
「えっ! あの腕《うで》時計がどうかしましたか?」
 横山部長刑事は不審《ふしん》そうにたずねた。
「あれには盗難《とうなん》保険がついていますから、窃盗《せつとう》事件なら関係もあるでしょうが、この殺人とどんな関係が? 指紋《しもん》も被害者《ひがいしや》のもののほかには一つも発見されませんでしたが」
「そうじゃない。あの時計のおかげで、僕《ぼく》にはホシの目あてがついたんだ。あのコンニャク問答も、こうなるとむだじゃなかったよ。あいつはとんだ嘘《うそ》をついている。きっと、犯人に摺钉沥筏いⅳ毪蓼ぁ
「時計が何を……」
「ウォルサムというのは、たしかにすばらしい時計だよ。今度の事件では、ウソ発見機の役まではたしたんだからね」
 加瀬警部は、いかにも肩《かた》の重荷をおろしたような笑いを浮《う》かべた。


  苦労性な犯人――犯人当て小説 その四――

    1

 矢島道夫は優秀なセ毳梗骏蕙螭坤盲俊
 仕事には実に熱心だし、ファイトも旺盛《おうせい》で攻撃《こうげき》精神に富んでいた。押《お》しと粘《ねば》りと、女に対するやさしさと、この商売に必要な素伲鲜证顺证沥ⅳ铯护皮い俊
 だから、彼はリッカ骏撺伐螭韦长沃У辘扦稀ⅳ郡à旱谝护纬煽儰颏ⅳ菠皮い俊¥い浃长位嵘绀稳违哗‘ルス?マンたちの間でも、毎月相当上位の成績だったのである。
 九月初めのある朝、その日の打ち合わせのために支店へ顔を出していた彼に、名ざしの電話がかかって来た。
 知らない女の声だった。かぜでもひいているのか、喉《のど》に何かひっかかっているようなその声は、まるで男のようだったが、一般《いつぱん》的に論ずるなら、男はミシンなどには何の関心もない。この相手は女だと、彼は強固な先入主を持っていたのである。
「あの、前に大阪で、おたくのミシンを買ったんですけれども、たいへん眨婴いい猡韦恰⒔穸龋铩钉啶工帷筏渭奕搿钉瑜幛ぁ筏甑谰撙恕⑿陇筏い韦蛞惶ā⒊证郡护皮浃恧Δ人激い蓼筏啤
 ミシンの国内での売れ行きは、新世帯の数にほぼ一致《いつち》するといわれている。彼はこの電話の内容には何の疑問もおこさなかった。
「それはおめでとうございます。私どもの製品は永久アフタ旦‘ビスつきでございまして……」
 なれたせりふが飛び出したが、相手はその言葉をさえぎるように、
「娘はつとめに出ておりますから、勝手ですが、今晩七時に家へ来ていただきたいのです。住所は世田谷区代田一ノ七二六、笠井晃《かさいあきら》、小田急の|梅ケ丘《うめがおか》駅からすぐなんです」
「かしこまりました。七時でございますね」
 メモに写しとった住所氏名をにらみながら、彼はもう一度だめをおした。
「ええ、時間の点は正確におねがいします。いろいろ都合もありますので」
「承知いたしました。それでは間摺钉蓼沥筏い胜饯螘r刻に上がりますから、どうぞよろしく」
 この話の様子では、すぐその場で契約《けいやく》がとれそうだった。万事につけて几帳面《きちようめん》な彼は、七時ちょうどに笠井家のベルをおしてやろうと決心した。

    2

 約束《やくそく》の七時ちょっと前に、彼は目的の家の近くまでやって来たが、そのとき、後ろから若い女の声が聞こえた。
「あら、リッカ骏撺伐螭畏饯袱悚胜ぃ俊
 商売がら、人の顔はよくおぼえているほうだったから、その女の名前はすぐに思い出せた。一月ほど前、月賦契約《げつぷけいやく》をしてくれた木浦綾子《きうらあやこ》という女だった。
 二十五、六のなかなかの美人で、たしか光和貿易という会社につとめているはずだった。
「木浦さんでございましたね。先日はいろいろありがとう存じました。機械の眨婴悉い扦搐钉い蓼工俊
「よく名前をおぼえていて下さったわね」
 相手は魅力《みりよく》たっぷりな笑いを浮《う》かべた。
「お客さまの中でも、おきれいなお方のことはなかなか忘れられませんから……」
「お上手《じようず》ね。誰《だれ》にでもそんなことをおっしゃるんでしょう? ところでミシンのことなんだけど、おたくに連絡《れんらく》しようかと思っていたところなの」
「どこか具合が悪いのですか? それでしたら、責任を持って修理いたします。うちでは永久保証をモット趣筏皮辘蓼筏啤ⅳ郡趣à幸羷萃濉钉い护铯蟆诽Lの後では、七千台のミシンを全部無料で修理いたしましたが……」
「その話はこの間うかがったけれど、実はわたしのボぃ骏榨欹螗嗓'びに来て、いじりまわしてから、眨婴沥绀盲葔浃胜韦琛1摔蠙C械を見るとすぐにいじりまわす悪趣味《あくしゆみ》があるのよ。ちょっと寄って見て下さらない」
「はい、かしこまりました。ちょっとぐらいのことでしたら、私にもわかると思います。ただ、七時にそこの笠井さんのお宅へうかがうお約束《やくそく》になっておりますから、その後でもよろしゅうございますか?」
「笠井さんの?」
 綾子はふいに口を椋Г浮⒛郡虼螭姢窑椁い啤ⅳい摔獠粚彙钉栅筏蟆筏饯Δ时砬椁蚋 钉Α筏伽俊
 矢島道夫は目で彼女の視線を追ったが、そのとき、三、四軒先の家から、一人の男があわてて飛び出して来たのが見えた。その姿はたちまち角を曲がって見えなくなってしまったが、その行動はどう考えても少し妙《みよう》だった。
「あの家が笠井さんのお宅なのよ。でも、いまの男は泥棒《どろぼう》かしら?」
 矢島道夫も実は同じことを考えていたのだ。
「行って見ましょう」
 木浦綾子はうなずいた。「笠井晃」と表札《ひようさつ》の出ている家の前まで走って行って呼鈴《よびりん》を押《お》したが何の返事もない。玄関《げんかん》のドアは開いたままだった。道夫は無意識に時計を見た。七時三分すぎだった。
「おかしいな……七時、時間厳守といわれていたんだが……」
 彼がわれを忘れてひとりごとをいうと、綾子は青ざめた顔をかすかにふるわせて、
「わたし、何だか胸さわぎがするわ……入って見ません? ここのお宅なら、わたし、よく知っていますから」
「そうですね」
 道夫はちょっとためらったが、そのとき妙《みよう》なものに気がついた。玄関の上がり口のところについている妙なしみ……それはたしかに血痕《けつこん》だった。
「行って見ましょう!」
 彼は持ち前のファイトを爆発《ばくはつ》させて家の中へ飛びこんだ。そして間もなく、この家の六|畳間《じようま》で、ミシンのそばに血まみれになって倒《たお》れている女の死体を発見したのである。

    3

 矢島道夫の急報で、すぐ警察からは刑事《けいじ》がかけつけて来たが、警視庁から加瀬敬介警部と横山部長刑事たちが到着《とうちやく》したのは、午後八時ちょっと前のことだった。
「被害者《ひがいしや》はこの家の主婦、笠井奈美子という話だったね。まず現場へ」
 刑事にだめをおして、奥《おく》の六|畳《じよう》に入った加瀬警部は、三十四、五の女の死体をいちおう眨俳Kわると、今度は縫《ぬ》いかけのスカ趣饯韦蓼蓼摔胜盲皮い毳撺伐螭颏袱盲纫姢膜幛俊
「縫い目の最後がひどく乱れているな。ミシンをかけている最中にやられて、倒《たお》れた時に布がひきずられたのだろうな」
 ひとりごとのようにつぶやくと、今度は横山部長の顔をじっと見つめて、
「後ろからなぐりつけて失神させ、椅子《いす》から転がり落ちたところを、前から胸を刺《さ》したとなると……」
「犯人は足音をひそめて後ろからしのびよったか、それとも被害者とは熟知の仲だったので、油断していたということになりますね」
「それもそうだが、僕《ぼく》にはこの犯人が、えらい苦労性だったという感じが来る」
「そうですね。ただ背中を刺しただけでは、目的を達しきれない恐《おそ》れがあると思ったのでしょうか。でも一度失神させた後なら、首をしめた方がかんたんに片づくはずですが……よほど血に铮钉Α筏à皮い郡韦ⅳ饯欷趣馐驻颏筏幛郡挨椁い扦仙丹肟帧钉健筏欷ⅳ毪人激盲郡韦扦筏绀Δ
「まあ、ここは鑑識《かんしき》の連中にまかせて、われわれはこっちの捜査《そうさ》をはじめようよ」
 警部にはもう何の感傷も見られなかった。
 鑑識の所見では、死亡推定時刻は、六時から七時の間ということだった。
 笠井晃というのは、光和貿易の課長だという話だったが、会社へ連絡《れんらく》しても誰《だれ》もいないし、どこにいるかもわからないし、いまのところ手の打ちようもなかった。
 だから捜査は第一に、矢島道夫の尋問《じんもん》となったのだが、この電話のことを聞いて、警部は首をひねらずにはおれなかった。
「それで、あなたはこの被害者《ひがいしや》とぜんぜん未知の関係だったのですね?」
「最初はそう思っていたのですが、やっといま思い出しました。七年ほど前、一台買っていただいたことがあります。ただ、電話の声がご本人だったかどうかは申しあげかねます」
「でも、この夫婦には子供がないそうです。ですから、新しいミシンは必要がなかったわけですね?」
「そうです。電話では大阪で――ということでしたが、私がお願いしたときのお宅はこの近くでした。それに……うちの契約者《けいやくしや》の年齢《ねんれい》は六十五|歳《さい》のおばあさんから、生後六か月の赤ん坊《ぼう》までまじっているというのですが、その話がぜんぜんでたらめだったとすると、あの電話はにせ電話だったのでしょうか? 私を擬似《ぎじ》犯人にしたてるねらいで……」
 さすがの矢島道夫も真っ青になっていたが、警部には、まだ何ともいいきれなかった。
 擬似犯人としては、被害者《ひがいしや》と関係もなさすぎる。それから警部は一転して、この地区と彼との関係をたずねたが、この付近は彼の縄《なわ》ばりだから、彼は近くの団地も含《ふく》めて、百台近くの契約《けいやく》をとっていたのだ。犯人がこの人物を知っており、何かの道具に利用したことは、十分可能性があるのだった。

    4

 木浦綾子のほうの眨伽狻ⅳ郡い筏

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